こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2022年6月23日号二ュース >> VIEW

記事2022年6月23日 2582号 (1面) 
中教審第168回大学分科会開く
大学設置基準改正案等議論
高等教育を軸としたグローバル政策でも意見交換

 中央教育審議会の第168回大学分科会(分科会長=永田恭介・筑波大学長)が6月22日に開かれた。議題は(1)医学部臨時定員増に係る大学設置基準に係る諮問、(2)大学設置基準等の改正、(3)高等教育を軸としたグローバル政策の方向性案、(4)イノベション・コモンズ(共創拠点)の実現に向けてまとめの方向性、(5)その他(令和5年度 魅力ある地方大学の実現に資する地方国立大学の定員増の選定結果等)。


 このうち(1)に関しては、末松文部科学大臣から、令和5年度の医学部定員全体としては令和2年度から令和4年度までと同様、令和元年度の医学部総定員数(9240人)を上限とすること、定員の枠組みとしては従来からのいわゆる「地域枠」「研究医枠」を令和5年度も維持する一方、「歯学部振替枠」は廃止することを諮問。この諮問に対して同日の大学分科会に出席した27人の委員全員(委員総数は30人)が、関連する大学設置基準の改正を適当と認めた。分科会の決定が中教審としての決定となる。


 (2)の大学設置基準等の改正に関しては、「大学設置基準等の一部を改正する省令案骨子案」、基幹教員や教育課程等に係る特例制度についての詳細な解説の資料等が事務局(文科省)から提示され、委員による意見交換が行われた。このうち基幹教員に関しては、現在の一つの大学に限る専任教員制度を見直して、クロスアポイントメント等の働き方の多様化や民間からの教員登用の促進、質保証の観点から基幹教員制度を導入。基幹教員の定義を、教育課程の編成その他学部の運営に責任を担う教員(例えば教授会など意思決定会議に参画する者等を想定)かつ当該学部の教育課程における主要授業科目を担当する教員(常勤との表現はない。一の大学でフルタイム雇用されている者〈月額報酬20万円以上を想定〉)または当該学部の教育課程における年間8単位以上の授業を担当する教員、としている。


 こうした基幹教員や特例制度に関しては歓迎の意向の委員が多かったが、基幹教員の雇用契約や労務対応を懸念、厚生労働省とのすり合わせを求める意見が聞かれた。


 (3)に関しては戦略的な外国人留学生の確保(インバウンド)、産学官あげてのグローバル人材育成(アウトバウンド)、大学等の真のグローバル化を進める基盤・ルールの整備(基盤構築)を大きな方向性として進めること等が事務局(文科省)から説明された。委員からは円安により海外留学が難しくなっている窮状が指摘され、優秀な留学生を呼び込むため、日本語ではなく外国人が受けやすい入学試験にすべきだ、諸外国の在外公館を活用した留学促進PR実施などの意見が出された。


 (4)は国立大学でのキャンパス全体を共創拠点とする5か年計画(令和3〜7年度)等が説明された。さらに現在協力者会議が共創拠点の実現に向けた推進方策を検討しており、今年夏に最終報告が取りまとめられる。


  次回大学分科会は9月7日開催予定。


6月22日の第168回大学分科会

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞